初めて聞いたときは、少し驚きました。
フォカッチャといえば、
オリーブオイルと塩で焼き上げた塩気のあるパン。
それをカプチーノに浸して食べるなんて、
本当だろうかと思ったのです。
けれど、リグーリア州の州都ジェノヴァでは、
それはごく普通の朝の風景です。
フォカッチャは朝食としても親しまれており、
カプチーノと一緒に楽しむ人も少なくありません。
ジェノヴァの街を歩けば、必ず香りに誘われる

ジェノヴァの街を歩いていると、
どこからともなく香ばしい香りが漂ってきます。
その正体はフォカッチャ。
パン屋の前には朝から人が集まり、焼きたてを紙に包んでもらっています。
ジェノヴァの人にとってフォカッチャは、特別な料理ではありません。
おやつであり、軽い昼食であり、そして朝食でもある。
日常の中に自然に溶け込んでいる食べ物なのです。
シンプルなのに忘れられない味

ジェノヴァのフォカッチャの材料は驚くほどシンプルです。
小麦粉、水、酵母、塩、そしてオリーブオイル。
それだけ。
それなのに、一口食べると不思議なくらい印象に残ります。
表面には指で押したくぼみがあり、
その中にオリーブオイルがたまっています。
外側はほんのり香ばしく、中はしっとり。
そして何より、オリーブオイルの存在感。
ジェノヴァのフォカッチャは「パン」というより、
「オリーブオイルを味わう料理」と言った方が近いのかもしれません。
味は「甘じょっぱい」ではない
この塩気のあるパンをカプチーノと食べると、どんな味なのか?
イタリアではクロワッサンやクッキーもカプチーノに浸して食べる人が多いですが、
もちろん、フォカッチャも浸して食べます。
イタリアのカプチーノは、それほど甘くありません。
砂糖を入れなければ、感じるのは
「エスプレッソのほろ苦さ」と「ミルクの自然な甘み」だけ。
そこへフォカッチャの塩気が加わります。
だから感覚としては、
「甘いもの + しょっぱいもの」
というより、
「ミルク + パン」
に近いかもしれません。
日本で例えるなら、
バターを塗ったトーストとミルク。
そんな組み合わせの延長線上にあります。
フォカッチャが少し柔らかくなる
浸すのはほんの一瞬。
ジェノヴァの人も、
フォカッチャをカプチーノ中へ沈めるわけではありません。
端を少し湿らせる程度。
すると、
オリーブオイルの香り。
パンの塩気。
ミルクのコク。
それぞれがふわりと重なります。
特に焼きたてのフォカッチャなら、その美味しさは格別です。
オイルは浮かないの?
ここで気になるのが、オリーブオイルの存在。
フォカッチャにはたっぷりのオリーブオイルが使われています。
「カプチーノの表面が脂っぽくならないの?」
そう思う人もいるかもしれません。
結論からいうと、
多少は浮きます。
でも、想像するほどではありません。
なぜなら、フォカッチャのオリーブオイルの多くはパン生地に吸収されているからです。
天ぷらをコーヒーに浸すような状態ではありません。
しかも浸すのはほんの一瞬。
ほんの少し油膜ができることはありますが、
一口二口浸して食べる程度なら、ほとんど気になりません。
旅の途中で食べたい一切れ
もしジェノヴァを訪れる機会があれば、
ぜひ、パン屋さんに立ち寄ってみてください。
焼きたてを一切れ買って、路地を歩きながら食べる。
レストランでは出会えない、その土地の日常が見えてきます。
そして、もう少し勇気があるなら…
地元の人たちのように、
カプチーノに浸して食べてみるのも面白いかもしれません。
それは観光客向けの名物ではなく、
ジェノヴァの人たちが昔から続けてきた朝の習慣。
最初は驚いても、
気づけばそれがジェノヴァの味として記憶に残るはずです。

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