アマルフィ海岸沿いの特産といえば、レモンのリキュール“リモンチェッロ”でしょうか。
このリモンチェッロがいつ、どこで、どのようにして生まれたのかは定かではありません。とりあえず、その歴史が古いことだけは間違いないでしょう。ただ、ある話が残っているということですので、今回はそれをご紹介したいと思います。
アマルフィ海岸沿いにミノーリという町があります。1100年頃、この町の住人が反乱の間、大司教を殺してしまいました。そしてミノーリ市民は教会から追放を言い渡されてしまい、教会へ出入りできなくなってしまいました。
ある日、ミノーリの住民がレモンがたくさん入ったカゴと、レモンのお酒を持ってローマ法王のもとを訪れました。ローマ法王は誰からの寄贈からも知らぬまま、ミノーリの地に神のご加護があるようにと祈りを捧げ、そのお礼としてレモンを受け取りました。ミノーリの人々は続けて赦しを請い、とうとうローマ法王から赦しを得ることができたそうです。
もし、この話が真実であれば、少なくとも西暦1100年頃にはすでにリモンチェッロと思わしきリキュールが存在していたことになります。
今日、イタリアでもっとも作られているリキュールはリモンチェッロだそうですが、リモンチェッロのオリジナルは大きく2つに分かれています。ヴィーコ・エクセンセ市からマッサ・ルブレンセ市まで、そしてカプリ島ではソレント産の楕円形をしたレモンを使います。一方、アマルフィや近辺地域ではアマルフィ産のレモンを使用。これらすべての地域で構成された組合では、リモンチェッロに関して厳しく規制していて、生産者には完全なる手作りを求めているため、非常に高いクオリティーを保証しています。
リモンチェッロの色合いは、とても深みのある濃いめの黄色をしていて、アルコール度は30~32度とやや低め。ロゾリオとしては唯一、よく冷やして飲まれているアルコールです。イタリアでは消化を助けてくれるということで、食後に飲まれていて、パスタやピザなどを食べた後の口の中がサッパリします。キンキンに冷やされた小さなグラスに、太陽をいっぱいうけて育ったレモンで作られたリモンチェッロ。見ているだけで、南イタリアの紺碧の海が目に浮かびます!
※ロゾリオ(rosolio):アルコール度が低く、砂糖を多く用い芳香をつけたリキュールの総称(コトバンク伊和辞典より)
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