フェッラーラの伝統的なパン“コッピア・フェッラレーゼIGP”

おいしい旅
フェッラーラ侯の居城「エステンセ城」

エステ家によって整備されたフェッラーラの町。ルネサンス様式で設計された芸術的でしっとりとした町並みが、落ち着きを与えてくれます。

ある年の夏、町の中心地から少し離れ、海にほど近いところにあるレストランに入ってみました。席につき、早々に出されたパンは見たこともない形をしていて、しかも固い。ウェイトレスに「普通のパンがほしい」と伝えても、彼女は怪訝そうな顔をするばかり。私はこの状況に悩むばかり・・・。

   

   『一体、これは何???』

ところが、これこそがフェッラーラの伝統的なパンだったんです!コッピア・フェッラレーゼの名前で知られるこのパンは、とても香ばしく、ビスケットのような触感で、十字架の形をしています。クルニットとよばれる角の形をした4本の棒状のパンの上に、グロップとよばれる中央の結び目によって接合され、2本のパンが対になった形から、コッピア(カップル)とよばれています。

このパンの起源は古く、1536年のカーニバルにまで遡ります。エステ家の宮廷に仕えていた料理人クリストフォロ・ディ・メッシスブーゴが残した証言によると、フェッラーラ公が開催した宴会の席において、このねじれたパンが出されたそうで、このパンの形はアルフォンソ1世・デステの妻ルクレツィア・ボルジアの巻き髪にインスピレーションを受けたものといわれています。

パンの外側は黄金色、中はぎっしりと詰まった感じ。パンは少し乾燥したようなビスケットに近い触感なので、水がないと喉がつまりそうになります。この地域の特産であるサラミと組み合わせて食べるととても相性がよく、すっかり心を奪われてしまいました!

La "coppia", pane tipico di Ferrara

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