言わずと知れたミラノのクリスマスケーキ「パネットーネ」はドーム形をしていて、生地にはドライフルーツが入っています。ちょうど、ケーキのスポンジとシフォンケーキ、パンを足して3で割ったような、しっとりとした食感で、バターとドライフルーツの相性がとても良いです。クリスマスシーズンになると、朝食に食べる人も多いようです。
12月に入ると街のあちこちで出回り、スーパーではパネットーネが山積みに。これを買って、クリスマス前後に親戚や友人に会えば、手土産として渡すこともあり、クリスマスの日のランチではデザートとしてシャンパンと一緒に食べるのが伝統的で、これがミラノでの一般的なパネットーネの使い方、食べ方です。
ところで、地元の人たちがやっていることがあるのをご存知ですか。実はクリスマスの日、パネットーネを食べるときに、少しだけパネットーネをよけておくんです。そして、それを2月3日に食べるという習慣があります。2月3日は聖ビアージョの日で、聖ビアージョがのどの痛みや鼻の病気を守る守護聖人であることから、残しておいたパネットーネをこの日に食べると、のどや鼻の病気にならないと言われています。
ちなみに、このパネットーネは教会で祈りを捧げられたものでなければなりません。祈りを捧げられたパネットーネを2月3日に食べてこそ、のどや鼻を聖ビアージョに守ってもらえるのです。祈りを捧げられていないパネットーネを食べた場合には、ただ太るだけといわれているので要注意です。
これが一般的に広く知られている解釈ですが、そもそも2月3日にパネットーネの残りを食べる風習が生まれたのは聖ビアージョのご加護を受けるためではありません。あまり知られていませんが、実はきちんとしたストーリーがあります。
『ある日、とある少女がパネットーネを持って教会にやってきた。これに祈りを捧げてほしいという少女に、神父はうなずいて受け取り、そして少女は家路へとついた。ところが、どうしてもお腹の減った神父はこともあろうか、このパネットーネに手をつけてしまった・・・。
後日、少女が祈りを捧げてもらったパネットーネを受け取りにやってきたものの、神父は自分がパネットーネを食べてしまったと言えるはずがない。探すふりをしつつ、パネットーネのない空の皿が置かれた食器棚の扉をおそるおそる開けてみると・・・。驚いたことに、パネットーネは少女が持ってきたパネットーネの倍の大きさになって、皿の上に乗っていた。』
これぞ、パネットーネの奇跡!この奇跡が起こったのが2月3日だったそうで、この奇跡を祝うために一切れ残しておいたパネットーネを2月3日に食べるようになったそうです。
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